自動ドアには、枠や機器が壁面に見える露出型と、天井や壁の中に機器を収める埋込型があり、建物の構造や意匠、改修のしやすさによって適した方式が異なります。
既存の壁や天井に手を加えにくい後付け工事では露出型が選ばれやすく、新築時に意匠を重視する場合は埋込型が検討されます。
どちらが適するかは躯体の納まりや配線経路によって変わるため、図面や現地調査での確認が必要です。
自動ドアの露出型と埋込型の基本的な違い
自動ドアの露出型と埋込型の違いは、機器類を壁面や無目(ドア上部の横架材)に見せるか、天井や壁の内部に収めて隠すかという納まりの違いにあります。
露出型は既存建物への後付けがしやすく、埋込型は新築や改修時に意匠性を優先したい場合に選ばれる傾向があります。
どちらを選ぶべきかは、天井裏の空間や躯体の条件、配線経路の確保が可能かどうかによって変わるため、図面や現地調査での確認が欠かせません。
以下では構造・見た目・適用条件を順に整理します。
露出型自動ドアの構造と特徴
露出型は、ドア上部の無目にオペレーター(開閉を制御する駆動装置)やセンサーなどの機器をそのまま取り付ける構造です。
天井や壁を大きく壊さずに設置できるため、既存建物への後付け工事に向いています。
点検口が無目部分に露出しているため、故障時の型式確認や部品交換の際に位置を特定しやすい点も実務上の利点です。
埋込型自動ドアの構造と特徴
埋込型は、天井や壁の内部にオペレーターや配線を収め、外観から機器が見えないようにする構造です。
新築時や意匠性を重視する店舗、オフィスビルで採用される例が多く見られます。
導入には天井裏スペースの確保や躯体側の下地条件が必要となるため、C天井埋込などの仕様に対応できるか、図面段階での確認が求められます。
見た目と意匠性の違い
露出型は無目や機器が目に見えるため、機能的でシンプルな印象になりやすく、工場や倉庫など機能性を優先する施設にも適しています。
一方、埋込型は機器が隠れることで天井面がすっきり見え、店舗やオフィスビルなど意匠性を重視する空間で選ばれやすい傾向があります。
用途と予算、既存躯体の条件を踏まえて判断してください。
| 比較項目 | 露出型 | 埋込型 |
|---|---|---|
| 機器の納まり | ドア上部の無目にオペレーターやセンサーを取り付ける | 天井や壁の内部にオペレーターや配線を収める |
| 外観 | 無目や機器が見え、機能的でシンプルな印象になりやすい | 機器が隠れ、天井面がすっきり見える |
| 主な採用場面 | 既存建物への後付け工事、工場や倉庫など機能性を優先する施設 | 新築時や意匠性を重視する店舗、オフィスビル |
| 導入時の確認事項 | 無目部分の点検口位置 | 天井裏スペースの確保や躯体側の下地条件 |
露出型と埋込型で異なる納まりのポイント
露出型と埋込型では、天井高や無目寸法、配線経路、躯体条件によって選択できる方式が変わります。
設計・改修の初期段階で確認すべき納まりの要素を整理し、後戻りのない計画につなげることが重要です。
天井高と無目寸法の確認事項
無目とはドア上部に取り付けられる横架材で、オペレーター(開閉駆動装置)やセンサーを収める部分を指します。
無目の高さや奥行きの寸法は機種ごとに異なり、天井高が低い建物では埋込型に必要な天井裏スペースを確保できない場合があります。
このような条件では露出型が選ばれやすく、自動ドアの寸法や納まり図を事前にメーカーへ確認することが実務上の判断材料になります。
配線・電気錠との取り合い
電気錠とは電気で施解錠を制御する錠前で、センサー配線とあわせて配線経路の確保が必要です。
埋込型では配線が天井裏を通るため天井内の下地や配管ルートの確認が求められ、露出型では無目内に配線が納まるため既存壁への影響を抑えやすい傾向があります。
改修時にはナブコ自動ドアの配線図など、メーカーが公開する図面を参照し、配線工事の範囲を事前に把握しておくと見積もり比較がしやすくなります。
戸車・レール部分の納まり
戸車とは引き戸を支えて動かす車輪状の部品で、上吊り式か下部レール式かによって床仕上げとの取り合いが異なります。
下部レールを設ける場合は床面に段差が生じやすく、バリアフリー要件を満たすためには段差解消や自動ドア壁の引き込み方式の検討が必要です。
片引きや引分けなど開閉方式によってもレール長さや戸袋スペースが変わるため、平面図の書き方段階で通行動線とあわせて確認してください。
納まり検討時の確認事項
- 天井高と無目の高さ・奥行き寸法を確認した
- センサーや電気錠の配線経路を確認した
- 戸車・レール部分と床仕上げの取り合いを確認した
- 開閉方式ごとのレール長さと戸袋スペースを確認した
建物用途別に見る露出型・埋込型の選び方
自動ドアに求められる条件は建物用途によって大きく異なり、露出型・埋込型のどちらが適するかも一様ではありません。
店舗、オフィス、病院、マンション、工場ではそれぞれ通行量やデザイン性、衛生面、耐久性への要求水準が異なるため、以下では用途別に判断基準を整理します。
店舗・商業施設での選び方
新規出店や改装の工期を短縮しつつ意匠性を重視する店舗では、機器が見えない埋込型が選ばれやすい傾向があります。
ファサードの美観を重視するテナントやブランドイメージを重視する商業施設では、天井や壁内に機器を収める埋込型が採用される例が多く見られます。
一方で、既存躯体の天井裏スペースが不足している建物や、テナント契約上の改修範囲に制約がある場合は、無目にオペレーターを露出設置できる露出型を選ぶケースも少なくありません。
特に居抜き物件や短工期での開業を目指す場合、天井を大きく解体せずに設置できる露出型のほうが、工事範囲を抑えられることがあります。
選び方の判断基準としては、まず物件の天井高や無目寸法、天井裏の配線経路を現地調査で確認し、意匠性と工期・費用のバランスをどこに置くかを整理することが重要です。
ナブコ自動ドアなど主要メーカーの図面ダウンロードページでは、機種別の自動ドアの納まりや寸法を確認できるCADデータが公開されているため、設計担当者は事前に納まり図を取得し、平面図の書き方や自動ドアの壁への引き込み寸法とあわせて検討すると比較検討がしやすくなります。
改装スケジュールが限られている場合は、複数の施工業者へ現地調査を依頼し、露出型・埋込型それぞれの工事範囲と費用感を見積もりで比較することをおすすめします。
オフィスビル・病院での選び方
オフィスビルや病院・クリニックは通行量が多く、来訪者や患者の動線が絶えず発生するため、意匠性よりも安全性と耐久性、そして故障時の対応力を優先する判断基準が求められます。
露出型・埋込型のいずれを選ぶ場合でも、機種の点検口が確認しやすい位置にあるか、無目内やC天井埋込部にセンサや電気錠の配線が整理されているかは、事前に確認しておきたい要素です。
埋込型は天井裏に機器が収まるため外観はすっきりしますが、点検や部品交換の際に天井を一部開口する必要が生じる場合があり、営業時間中の稼働に影響しないよう作業時間帯を調整する必要があります。
一方、露出型は無目部分に機器が露出しているため点検性に優れ、短時間での応急対応がしやすい傾向があります。
病院では患者や車椅子利用者の通行が絶えないため、動線を止める時間を最小限に抑えられる機種選定が重要です。
また、複数拠点や複数台の自動ドアを管理する法人担当者は、部品供給の安定性を優先する判断基準を持つことが望ましく、長期利用を前提とするならメーカーの保守体制や対応地域も比較材料になります。
ユーテックドアやBOONEDAMなどのステンレス建材を用いた重引き戸・折り戸、セキュリティゲートを含む建築用途では、開閉方式ごとに異なる寸法や納まりが用意されているため、図面ダウンロードページでCADデータや配線図を確認し、設計担当者や施工業者へ相談することをおすすめします。
マンション・介護福祉施設での選び方
マンションや介護福祉施設では、建物全体の合意形成とバリアフリー動線の両立が選び方の判断基準になります。
マンションの共用部で自動ドアを改修する場合、管理組合による合意形成が前提となるため、意匠性と改修コストのバランスを数値で示せる資料が必要です。
埋込型は天井や壁内に機器を収めるため見た目はすっきりしますが、天井裏スペースの確保や躯体への影響を伴う工事が必要になる場合があり、既存の共用部では露出型のほうが工期短縮とコスト圧縮につながりやすい傾向があります。
介護福祉施設では、車椅子や歩行器を使う利用者の通行が多いため、戸車やレールの納まりを含めたバリアフリー動線の確保が優先されます。
段差の少ない床納まりや、開閉方式が片引き(片側に戸が引き込まれる方式)か引分け(両側に戸が引き分かれる方式)かによって、必要な壁への引き込み幅や無目寸法が変わるため、自動ドアの寸法や納まり図を事前に確認しておくことが重要です。
実務上は、管理組合や施設運営者へ提示する見積書に、本体費用のほか付帯工事、電気錠やセンサーの配線工事、天井や壁の補修費用まで含めた総額を明示し、改修コストと意匠性のバランスで選ぶ判断基準として比較検討できる状態にすることが望まれます。
自動ドアの平面図の書き方や壁への引き込み寸法については、ナブコ自動ドアなど主要メーカーの図面ダウンロードページでCADデータや配線図を確認し、設計担当者や施工業者へ相談することをおすすめします。
工場・倉庫での選び方
粉塵や温度変化が大きい工場や倉庫では、機器の点検や清掃を頻繁に行えることを優先し、露出型が選ばれやすい傾向があります。
天井や壁内に機器を埋め込む埋込型は、意匠性は高いものの、粉塵がセンサーやオペレーター(自動ドアを開閉させる駆動装置)内部に侵入した際、点検口を開けるまで状態を確認しづらいという弱点があります。
これに対し露出型は無目(ドア上部の横架材)にオペレーターが露出しているため、異音や動作不良の早期発見につながりやすく、フォークリフトなど大型機材が頻繁に出入りする搬入口周辺でも保守担当者が状態を目視しやすい点が評価されています。
また、工場や倉庫では搬入口の開口幅が大きく、片引き(片側に戸が引き込まれる方式)や引分け(両側に戸が引き分かれる方式)など開閉方式によって壁への引き込み寸法が異なるため、自動ドアの寸法や納まりを事前に確認しておくことが欠かせません。
ステンレス建材を使ったC天井埋込タイプなど、耐久性を高めた製品も存在しますが、粉塵環境での採用実績や部品供給体制については、施工業者へ相談したうえで判断することをおすすめします。
よくある質問
ここでは、露出型と埋込型の費用比較や仕様変更の可否、納まり図の確認方法、修理対応の範囲、開閉方式との関係など、法人担当者から寄せられやすい疑問をまとめて回答します。
見積もりや業者選定の判断材料としてご確認ください。
自動ドアの露出型と埋込型はどちらが費用が安いですか?
露出型と埋込型のどちらが安いかは一律に断定できません。
既存躯体の条件や天井裏スペースの有無、配線ルートの変更範囲、付帯工事の量によって総費用が変動するためです。
例えば既存の無目寸法に合わせて機種を選べる場合は工事範囲が小さく済みますが、埋込型へ変更する際に天井の造作工事が必要になると、本体価格以上に付帯工事費がかさむこともあります。
本体価格だけでなく付帯工事費まで含めた総費用で比較することが重要です。
実際の金額は現地調査のうえ、施工業者から見積もりを取得して比較することをおすすめします。
埋込型から露出型への変更は可能ですか?
埋込型から露出型への変更は、天井裏スペースや配線ルートの条件によって可能な場合とそうでない場合があります。
一律に判断できるものではなく、既存躯体の状態を確認することが前提です。
例えば無目(ドア上部の横架材)を新設できるかどうか、配線を無目内へ引き直せるかどうかによって、工事範囲や費用が大きく変わります。
現地調査で可否を判断する必要があるため、施工業者へ天井裏の状況や躯体条件を確認したうえで見積もりを依頼してください。
自動ドアの納まり図や寸法はどこで確認できますか?
自動ドアの納まり図や寸法は、メーカー公式サイトの図面ダウンロードページで確認できる場合があります。
ナブコ自動ドアなど主要メーカーでは、システム商品紹介のページから引き戸や開き戸の基本商品を種類別に確認し、CADデータや平面図の書き方を含む図面をダウンロードできる仕組みが整っています。
設計担当者が事前に確認すべき点としては、無目の高さや奥行寸法、壁への引き込み寸法、電気錠やセンサーの配線図が挙げられます。
自動ドアの寸法や壁への引き込み条件は機種ごとに異なるため、CADデータを取得したうえで既存躯体との整合性を確認し、必要に応じてメーカーや施工業者へ相談してください。
自動ドアが開かない・異音がする場合はどちらのタイプでも修理できますか?
露出型・埋込型のどちらであっても、点検口の位置や部品供給の状況によって対応可否が変わります。
露出型は無目内の点検口が確認しやすい一方、埋込型は天井裏の点検口を経由するため、開口までに時間を要することがあります。
修理を依頼する際は、型式やメーカー名を業者へ正確に伝えることが重要です。
型式を伝えることで部品供給の確認がスムーズになり、対応可否や修理期間の見通しを早期に得られます。
老朽化した機種では部品が生産終了している場合もあるため、修理と交換のどちらが妥当かを含めて業者へ相談してください。
片引きや引分けなど開閉方式によって露出型・埋込型の選択は変わりますか?
片引き(片側に戸が引き込まれる方式)や引分け(両側に戸が引き分かれる方式)では、必要となる無目の長さや壁への引き込み寸法が異なるため、露出型・埋込型の選択に影響します。
片引きは一方向に戸袋(戸を収める壁内空間)を確保する必要があり、引分けは両側に確保する必要があるためです。
例えば壁への引き込みスペースが限られる建物では、機器を天井裏へ収める埋込型よりも、無目内に機器を収める露出型のほうが施工しやすい場合があります。
開閉方式ごとの納まり要件は現場条件によって異なるため、平面図や納まり図を用いて設計担当者と施工業者が事前に確認することをおすすめします。
自動ドアの納まり図や寸法はどこで確認できますか?
自動ドアの納まり図や寸法は、各メーカーの公式サイトにある図面ダウンロードページで確認できます。
例えばナブコ自動ドアでは、商品紹介ページから引き戸や開き戸など種類ごとにCADデータや納まり図をダウンロードできる仕組みが整っており、無目寸法や壁への引き込み寸法を事前に把握できます。
設計担当者は、自動ドアの平面図の書き方や配線図もあわせて確認し、天井高、戸車やレールの位置、電気錠との取り合いなど現場条件と照合することが重要です。
不明点がある場合は、型式を明確にしたうえで施工業者やメーカーの相談窓口へ問い合わせ、最新の寸法情報を確認してください。
自動ドアが開かない・異音がする場合はどちらのタイプでも修理できますか?
結論として、自動ドアが開かない、閉まらない、途中で止まる、異音がするといった症状は、露出型・埋込型のどちらであっても修理は可能です。
ただし、対応の可否や工事範囲は、点検口の位置や部品供給状況によって異なります。
無目内に機器を収める露出型は点検口が確認しやすく、比較的短時間で状況を把握できる場合がありますが、天井や壁内に機器を収める埋込型は天井裏の点検口を開けて確認する必要があり、天井材の状態によっては開口部の養生や補修が追加で発生することもあります。
また、オペレーターやセンサーなどの部品は機種や製造時期によって供給状況が異なるため、修理を依頼する際は型式を正確に業者へ伝えることが重要です。
異音や動作不良を発見した場合は、無理に手動で開閉させず、まず安全を確保したうえで型式と症状を控え、施工業者やメーカーの相談窓口へ連絡してください。
片引きや引分けなど開閉方式によって露出型・埋込型の選択は変わりますか?
結論として、片引き(片側の壁面へ戸を引き込む方式)や引分け(両側に戸が引き分かれる方式)といった開閉方式そのものが、露出型・埋込型のどちらかを自動的に決めるわけではありません。
ただし、開閉方式によって戸の可動範囲や壁への引き込みスペースが異なるため、納まりの検討条件は変わります。
たとえば片引きでは、戸を収める側の壁厚や自動ドア壁への引き込み寸法を確保できるかが焦点になり、躯体条件が厳しい現場では機器を無目に露出させる露出型が選ばれやすい傾向があります。
一方、引分けは左右均等に開口を確保できる反面、両側にオペレーターや配線を通す必要があるため、天井裏に十分なスペースがある建物では埋込型でも対応しやすくなります。
実際の選定では、開閉方式ごとの自動ドアの寸法や納まり図をメーカーの図面ダウンロードページで確認し、現地の躯体条件と照らし合わせることが重要です。
設計担当者は、平面図の書き方や配線図もあわせて確認し、施工業者へ開閉方式と設置条件を伝えたうえで最終判断することをおすすめします。
まとめ
自動ドアの露出型と埋込型は納まりと建物条件で選ぶことが基本です。
天井高、無目寸法、配線経路、開閉方式ごとの引き込みスペースを現地調査で確認し、用途に応じた判断基準と照らし合わせてください。
費用や工期は現場条件で変わるため、見積もりで工事範囲と保守体制を比較したうえで、施工業者へ具体的な相談を進めることをおすすめします。
